パラアイスホッケー — 2025/11/11 火曜日 at 12:04:14

【最終予選】パラ出場権獲得! 勝利への執念、8年越し強化が結実

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2大会ぶりのパラリンピック出場を決めた日本代表=ノルウェー・イェスハイム

パラアイスホッケーのミラノ・コルティナ2026冬季パラリンピックの出場権をかけた最終予選が、5日から6日間にわたってノルウェーのイェスハイムで開催された。出場6チームのうち、日本を含む4チームが大会5日目までに3勝1敗で並び、結果は最終日に持ち越された。日本はその最終戦で強豪ノルウェーと対戦。「勝利したほうがパラ出場」という命運をかけた一戦を8-2で制し、2018年の平昌大会以来、2大会ぶりとなるパラリンピック出場を決めた。

第1ピリオド、日本は須藤悟(DF)が先制点を決めると、20歳の伊藤樹(FW)がスピードを活かして速攻から鮮やかなシュートを繰り出し追加点。伊藤はさらに得点をマークし、また鵜飼祥生(FW)もゴールを決めて、4-0とリードした。第2ピリオドは互いに1点ずつ奪うと、第3ピリオドは再び日本が3得点し、突き放す。ノルウェーも最後に1点を返すが、日本が優位に試合を進め、勝利した。

今大会、日本は初戦で韓国に逆転負けを喫し黒星スタートとなったが、第2戦で世界ランキング最上位のスロバキアに先行されながらも、試合時間残り1分を切ってから逆転勝利したことがカギとなった。首の皮一枚つながったことで課題ややるべきことが明確になり、続くカザフスタン戦とスウェーデン戦は完封勝利と、流れを引き寄せた日本。ノルウェー戦の会場はアウェイの雰囲気だったが、リンク上の選手も控えの選手も、ベンチ入りを逃した選手も声を出し、チームはひとつに。体格に勝る相手に何度も突き飛ばされながらも2枚3枚と壁を作り、シュートへとつなげた。

20歳ながら攻守の要として起用された伊藤

攻守にわたって大活躍し、大会ベストフォワードにも選ばれた伊藤は、「最初の2試合で終わりそうになったのに、俺らいま1位だぜ。信じられない。今大会は俺らに用意された大会だよ。みんなを信じてよかった」と感極まった。平昌大会を経験しているキャプテンの熊谷昌治(FW)は、8年越しの挑戦を振り返り、「日本でホッケーの灯が消えそうになったこともあったけれど、本当にベテラン勢が踏ん張って、若手を育ててくれた。みんなの底力で勝ち取った結果。諦めなくてよかった」と、笑顔で語った。

また、第2試合でスロバキアが韓国を2-1で下し、もう一枚の切符を獲得。2大会連続のパラリンピック出場を決めた。平昌大会で銅メダル、北京大会でも4位に入った韓国は一歩及ばず、涙をのんだ。

■ミラノ・コルティナ2026パラリンピックに出場する8カ国が決定

ミラノ・コルティナ2026パラリンピックの出場国は「8」。今年5月に行われた世界選手権Aプールの1位アメリカ、2位カナダ、3位チェコ、4位中国、5位ドイツ、加えてパラリンピック開催国のイタリアの計6チームが出場を決めている。そして、今回の最終予選で日本とスロバキアが残りの「2」枠を勝ち取った。日本がパラリンピックに出場するのは、2018年の平昌大会以来、2大会ぶり。

<10日の結果>

日本 4-1-3=8(4勝1敗)★出場権獲得★
ノルウェー 0-1-1=0(3勝2敗)

スロバキア 2-0-0=2(4勝1敗)★出場権獲得★
韓国 0-1-0=1(3勝2敗)

スウェーデン 3-0-1=4(1勝4敗)
カザフスタン 0-2-1=3(5敗)

(取材・文・写真/荒木美晴)