アイススレッジホッケーの国際大会「IPC公認 2012ジャパンアイススレッジホッケーチャンピオンシップ」が17日、長野市のビッグハットで開幕した。大会には、バンクーバーパラリンピック3位のノルウェー、4位のカナダ、6位の韓国、そして銀メダルの日本の4カ国が参加する。まずは総当りの予選が始まり、日本は第2試合でノルウェーと対戦。3-2で勝利した。
先制点は塩谷、記念すべき国際大会初ゴール!
日本の初戦の相手は、これまで幾度となく接戦を演じてきた好敵手・ノルウェー。この試合もやはりもつれる展開となったが、日本は序盤に先制点を挙げてから一度も相手にリードを許さなかった。
その先制点は、第1ピリオドの5分54秒。日本はサイド、ゴール裏を使って攻め、相手ディフェンスをかく乱。そして、混戦から出たパックを三澤英司(DF)がフリーの状態でロングシュート。そのパックをゴール前にいた塩谷吉寛(FW)が絶妙のスティックさばきで合わせて見事に決めた。塩谷にとって国際大会で初めてのゴールとなり、今月19日に迎える23歳の誕生日に花を添えた。
その後、日本のペナルティで一人少ないキルプレーの状態から、ノルウェーに1点を返され、同点になって迎えた第2ピリオド。両チームとも積極的にゴールを狙うが決定打が出ず、混戦のまま終盤に。そして7分52秒、今度はノルウェーのペナルティーで日本の数的有利となった場面で、リンク中央付近でパックを奪った上原大祐(FW)が相手ディフェンスをかわしてゴール前に持ち込み、体勢を崩しながらもシュート。これが見事に決まり、再び1点のリードを奪った。
再び追いつかれるも、上原が決勝点
第3ピリオドは、第2ピリオドの最後に日本のペナルティーを取られたため、一人少ない状態でスタート。ゴールを守らなければ、と気を引き締めたまさにその瞬間をついたのが、ノルウェーのスーパーエース・Rolf Pedersen(DF)だった。開始わずか22秒に、豪快なシュートを決め、一気にノルウェーにペースを引き寄せた。
攻め込まれる時間帯が続き、ディフェンス陣を中心に全員でしのぐ日本。そして、再びチャンスがやってきた。試合時間残り5分を切ったところで、ノルウェーがペナルティー。このパワープレーの絶好の機会を逃さず、攻撃に転じた日本は、スピードを活かして遠藤隆行(DF)、吉川守(FW)とパスをつなぎ、最後は上原が合わせてゴール。これが決勝点となり、3-2で勝利した。
一昨年のバンクーバーパラリンピック以降、選手不足などで日本は低迷していた。昨年4月と11月に世界トップ4カ国が集結するカナダでの大会に参加しているが、2大会連続で勝ち星はゼロ、最下位に沈んでいる。つまり、日本代表にとって今回のこの勝利は、パラリンピックの準決勝以来、約2年ぶりの白星なのだ。それだけに、意味のある1勝といえるだろう。中北浩仁監督は、「この試合は、ターンオーバーに注意して、きっちり守り、点を取ることにこだわった。11月のカナダ遠征時と比べると、システムが機能していた。フォアチェックからチャンスをものにし、ディフェンスが機能したのがポイントだと思います」と話した。
第1試合 韓国1-3カナダ
大会初戦となるカナダと韓国の試合は、両チームとも得点ノーゴールの時間帯が続く。その均衡を破ったのは、カナダだった。第1ピリオドの残り3分、カナダのキャプテンマークを背負うGreg Westlake(FW)が先制点を挙げ、続く第2ピリオドもWestlakeとBilly Bridges(FW)がパスをまわして、エースのBradley Bowden(FW)が追加点を決めた。
「世界最強のフォワードライン」の呼び声高いこの3選手の活躍と、冷静で鉄壁のディフェンスで試合をリードするカナダ。さらに1点を追加したカナダが優勢のまま最終ピリオドへ。
対する韓国も、集中力を切らさず細かくパスをつなぎ、幾度も相手陣地に攻めこみゴールを狙う。
そして、最終ピリオドの4分28秒、ゴール前の混戦からこぼれたパックをSeung hwan JUNG(FW)が押し込み、1点を返した。だが、その後は追加点を挙げられず、反撃はここまで。1-3でカナダに敗れた。
●17日試合結果●
<第1試合>
韓国 0-0-1=1
カナダ 2-1-0=3
<第2試合>
日本 1-1-1=3
ノルウェー 1-0-1=2
(日本得点:①塩谷 A三澤 ②上原 ③上原 A遠藤、吉川)
※MA SPORTSは、2012JAPAN ICE SLEDGE HOCKEY CHAMPIONSHIPSのオフィシャルメディアです。
(取材・撮影/荒木美晴)