長野市のビッグハットで1月13日、「天皇陛下御即位20 年記念2009 ジャパンパラリンピックアイススレッジホッケー競技大会」が開幕。世界ランキングトップ3のカナダ、ノルウェー、アメリカと、同4位の日本の4カ国対抗戦が行われる。開会式の後に行われた 日本対ノルウェー戦は、日本が4-0でノルウェーを下し、完封勝利を飾った。
試合の主導権を終始握っていたのは、日本だった。課題のひとつだった立ち上がりも、この日は積極的に前に出てゲームメーク。序盤から高い集中力を維持して、相手陣地に攻め込んだ。
とくにキレのある動きを見せたのが、今シーズンからキャプテンとしてチームを引っ張る上原大祐(FW)だ。第1ピリオド4分29秒には、持ち前のスピードを活かして自陣のブルーラインあたりから一人でパックを持ち込み、貴重な先制シュートを決めた。勢いづいた日本は、早いタイミングでパックを回し、ノルウェーのディフェンスラインを翻弄。5分43秒には、吉川守(FW)のアシストを受けて、再び上原が角度のあるシュートを決めて2得点目を追加した。さらに13分15秒には、こまかく正確なパスをつなぎ、高橋和廣(FW)と吉川のアシストからゴール前に詰めていた上原に最高のパス。躊躇せずに放った3点目が、ゴールネットを揺らした。
第2ピリオドの10分56秒には、日本のパワープレーの場面で、ゴール裏からパスをまわしシュートにつなぐ鮮やかな攻撃を展開し、上原が決勝点を決めた。
ノルウェーも、トータル11本のシュートを放つが、日本の鉄壁のディフェンスと守護神・永瀬充(GK)がシャットアウト。第3ピリオドも0点に抑え、初戦を完封勝利という最高の形でスタートを切った。試合後、報道陣に囲まれた上原は、「今日はみんな落ち着いてプレーできた。とてもよかったと思います」と笑顔を見せた。
体格や個人技に勝る外国チームに対抗する日本の武器は、組織力。この組織力がこれまでの公式戦ではいまひとつ発揮できずにいたが、今日は中北浩仁監督も「システムが機能していて、次につながるいい内容だった」と評価した。
一方のノルウェーは、トリノパラリンピックでMVPに輝き、チームの攻守の要であるRolf Pedersen(FW)らメンバー数人が、大会直前に体調を崩し、来日をキャンセル。苦しい布陣で臨むなか、最終ピリオドは攻めに転じ、日本を無得点に抑えたのは、意地というところか。中北監督も、「明日のアメリカ戦は、しっかり修正していきたい」と話し、表情を引き締めた。
また、開会式に先駆けて行われた第一試合のカナダ対アメリカ戦は、カナダに終始攻められながらも、数少ないチャンスで確実にシュートを決めたアメリカが、1-0で勝利した。
明日は16時からカナダ対ノルウェー、18時半から日本対アメリカの試合が行われる。
試合結果/第一試合
・アメリカ 1-0-0=1(得点:Andy Yohe、アシストLonnie Hannah・Taylor Chace)
・カナダ 0-0-0=0
試合結果/第二試合
・日本 3-1-0=4(得点:上原4、アシスト吉川3・高橋2)
・ノルウェー 0-0-0=0
(記事:荒木美晴)