10日に開幕するアイススレッジホッケー世界選手権Bプールに、日本代表が出場する。
日本代表はパラリンピックに長野大会からバンクーバー大会まで4大会連続で出場している。2010年のバンクーバーでは悲願の銀メダルを獲得したが、昨年3月の世界選手権で7位に沈み、今シーズンからBプールへと降格した。
その後、追いうちをかけるように主力メンバーが相次いで代表を離脱。もともと競技人口が国内で50人弱と少なく、少数精鋭でチーム作りをしてきたこともあり、短期間でのチーム構成や戦略の大幅な見直し作業は困難を極めた。
日本復活のカギは、Team chemistry
だが、下を向いている選手はいない。チームとしての最終目標は、あくまで「ソチで金メダルを獲る」ことだ。そのソチを見据え、目の前にあるハードルをひとつずつクリアしていこうと、チームとスタッフが一丸となって合宿と海外遠征をこなしてきた。この1年、海外勢との試合では連敗続きだが、その中で経験を積んだ若手選手も伸びてきている。中北浩仁監督も、「今のこのケミストリー(化学反応)を変えたくない」と語る。
そんな新チームを引っ張るのが、キャプテンの須藤悟。バンクーバーパラリンピックでも決勝ラウンド進出をかけた予選の大一番の韓国戦で貴重な先制点をアシストするなど攻守に大活躍し、日本の銀メダル獲得の原動力となったベテランだ。
須藤は本来、日本を代表するディフェンスマンだが、その豊富な運動量と高い得点力が評価され、今大会はフォワードとして登録されている。2月のイタリア遠征でも前線に起用されており、中北監督は「須藤の得点力に期待したい」と語る。
初戦のポーランド戦を前に、「おそらく相手はゴール前を固めてくる。そこを、自分で先制点を挙げて攻撃のきっかけを作って、みんなを引っ張っていけたら」と、須藤。
キャプテンとして決して多くを語らない印象だが、国際舞台の勝利の味も、悔し涙も知るその背中で、チームをけん引する。
(取材・文/荒木美晴、写真/吉村もと)