アイススレッジホッケーの国内クラブチーム選手権が12月20日から二日間の日程で、長野県岡谷市のやまびこスケートの森アイスアリーナで行われた。
現在のところ、国内には長野サンダーバーズ(長野)、東京アイスバーンズ(東京)、北海道ベアーズ(北海道)、八戸バイキングス(青森)の4チームがある。北海道と八戸は連合チームの北海道・八戸バーバリアンズとして出場。3チームの総当たりで頂点を目指した。
長野とのGWS対決を制して勢いに乗ったバーバリアンズ
第1試合の長野対東京は、FW熊谷昌治のハットトリックなどで4点を奪った長野が完封勝利した。
その長野と北海道・八戸連合のカードとなった第2試合は、勢いのある長野が先制。しかし、第3ピリオドで北海道・八戸連合のDF須藤悟の得点で追いつくと、ベテランのFW三澤英司が追加点をあげて逆転に成功した。一進一退の攻防が続くなか、試合終盤で1点目を入れた熊谷が再びゴールを決め2-2に。そのまま試合はゲームウイニングショット対決にもつれこみ、先攻の北海道・八戸連合の須藤が落ち着いて決めて勝利をおさめた。
第3試合は北海道・八戸連合対東京。第2ピリオドの2分43秒にFW安中幹雄のシュートで東京が先制する。だが、そのわずか17秒後に北海道・八戸連合の須藤が取り返して同点とし、16歳のFW星雄介の決勝点で試合を決めた。
その結果、2勝の北海道・八戸連合が大会を制し、2位長野サンダーバーズ、3位東京アイスバーンズとなった。今シーズンのクラブ選手権は、開催地を変えながら4回開催する予定で、今回で3回目。最終戦は来年2月に行われる予定だ。
日本アイススレッジホッケー界が抱える深刻な”選手不足”
残念ながら今年のソチパラリンピックの出場を逃した日本。広く注目される機会を失い、以前から課題だった競技人口の底辺拡大の実現が、いよいよ難しくなってきている。国内の競技人口はわずか30人前後まで落ち込んでおり、状況は深刻だ。ちなみに、今大会の北海道と八戸は、連合チームにしても人数が足りなかったため、他チームから選手をレンタルして試合を成立させた。
全国的に競技人口が増えない理由については、複数考えられるが、主には練習拠点となるアイスリンクが少ないこと、練習時間帯が一般滑走の前後になるため深夜早朝に限定されやすく、競技をスタートしにくい、といったこのスポーツならではの点が挙げられる。人材獲得に向けて選手が個別に声をかけたり、チームで体験会を開いたりしているが、いまだ根本的な解決には至っていない。
2020年東京パラリンピックの開催が決まり、どの競技団体も若い世代の発掘に力を入れていくはずだ。夏季・冬季問わず、選手の奪い合いも激しくなっていくだろう。日本のアイススレッジホッケー界は、その押し寄せる焦燥の波とも戦わなければならない。棘の道をどう切り拓くか。彼らの模索は続く。
(取材・文/荒木美晴)