パラバドミントン — 2017/9/10 日曜日 at 23:07:22

4日間の熱戦に幕、日本勢はシングルス3種目で逆転V!

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立位女子SU5(上肢障がい)で中国の揚をフルゲームの末破った鈴木=町田市立総合体育館(撮影/佐山篤)
立位女子SU5(上肢障がい)で中国の揚をフルゲームの末破った鈴木=町田市立総合体育館(撮影/佐山篤)

7日から町田市立総合体育館で開かれていた「ヒューリック・ダイハツJAPANパラバドミントン国際大会2017」が10日、閉幕した。日本でパラバドミントンの国際大会が開催されるのは初。最終日は各クラス・種目の決勝戦が行われ、日本勢は3種目で優勝。初代チャンピオンに輝いた。

鈴木が予選で敗れた楊にリベンジ

立位女子上肢障がい(SU5)の鈴木亜弥子(七十七銀行)は、シングルス決勝で楊秋霞(中国)と対戦。第1ゲームは相手の多彩な攻撃のなかでも、前に落とすドロップに苦しみ、8-21で落とした。だが、鈴木はここから挽回。相手のバック側の処理がフォアより甘いことを見抜くと、ラウンドにショットを集め、ミスを誘った。21-13で第2ゲームを取り返すと、ファイナルゲームでも勢いをキープ。楊の追い上げを振り切り、21-18で勝利した。

11月のアジア選手権、そして今大会の予選でも対戦したがいずれも敗れており、鈴木は「3度目の正直。しかも日本の大会で勝てて、とても嬉しい」と笑顔を見せた。

山崎は冷静な状況判断で国際大会3勝目

車いす女子WH2シングルス決勝では、山崎悠麻(調布市役所)が世界ランキング1位で第1シードのアムノイ・ワットゥタン(タイ)を20-22、21‐18、21‐18で下した。国際大会のシングルスでは、昨年6月のアイルランド、今夏のペルーに続く優勝。

互いの勝利への執着心が点数に表れるかのように、1ゲーム目から接戦だった。どちらもリードしては追いつかれる、という白熱した展開に、観客も息をのんだ。そのなかでも、山崎は冷静さを失わなかった。「相手がラリーしたくないのが伝わってきた」。コートに吹く風もうまく利用し、深いクリアで粘る山崎。長い打ち合いに持ち込むと、ワットゥタンはたまらず打ち急ぎ、その返球はラインの外に流れていった。

アウトになった瞬間、「こみあげるものがあった」と思わず手で顔を覆った山崎。「トップ選手に勝てて、手ごたえを感じた。応援してくれたたくさんの人に感謝したい」と話した。

粘りのプレーで相手のペースを乱した藤原

試合後、大きな声援を送っていたチームメートから祝福される藤原
試合後、大きな声援を送っていたチームメートから祝福される藤原

男子下肢障がいSL3の世界ランキング3位の藤原大輔(LINE)は、シングルス準決勝で同2位のマノージ・サルカール(インド)を下して決勝に勝ち上がった。決勝の相手、ダニエル・ベッスル(イングランド)も世界3位の強敵。とくに、ネットに絡みつくようなヘアピンは大きな武器で、藤原も序盤は苦しんだ。だが、集中力を切らさず、粘って拾いまくるうち、相手のミスが出始める。ゲームカウント1‐1で迎えたファイナルゲームは、藤原が主導権を握る展開に。マッチポイントで相手のサーブがアウトになると、藤原は大きくガッツポーズを作ってみせた。

逆転の優勝に、藤原は「ランキングが上の選手に勝つことが目標だったので嬉しい」と笑顔を見せた。

男子立位の上肢障がいSU5の浦哲雄(グリーンスタンプ)もシングルスで決勝に進出したが、リク・ハウ・チア(マレーシア)に世界ランク1位の実力を見せつけられ、ストレートで敗れた。

(取材・文/荒木美晴、撮影/佐山篤)