7日から町田市立総合体育館で開かれていた「ヒューリック・ダイハツJAPANパラバドミントン国際大会2017」が10日、閉幕した。日本でパラバドミントンの国際大会が開催されるのは初。最終日は各クラス・種目の決勝戦が行われ、日本勢は3種目で優勝。初代チャンピオンに輝いた。
鈴木が予選で敗れた楊にリベンジ
立位女子上肢障がい(SU5)の鈴木亜弥子(七十七銀行)は、シングルス決勝で楊秋霞(中国)と対戦。第1ゲームは相手の多彩な攻撃のなかでも、前に落とすドロップに苦しみ、8-21で落とした。だが、鈴木はここから挽回。相手のバック側の処理がフォアより甘いことを見抜くと、ラウンドにショットを集め、ミスを誘った。21-13で第2ゲームを取り返すと、ファイナルゲームでも勢いをキープ。楊の追い上げを振り切り、21-18で勝利した。
11月のアジア選手権、そして今大会の予選でも対戦したがいずれも敗れており、鈴木は「3度目の正直。しかも日本の大会で勝てて、とても嬉しい」と笑顔を見せた。
山崎は冷静な状況判断で国際大会3勝目
車いす女子WH2シングルス決勝では、山崎悠麻(調布市役所)が世界ランキング1位で第1シードのアムノイ・ワットゥタン(タイ)を20-22、21‐18、21‐18で下した。国際大会のシングルスでは、昨年6月のアイルランド、今夏のペルーに続く優勝。
互いの勝利への執着心が点数に表れるかのように、1ゲーム目から接戦だった。どちらもリードしては追いつかれる、という白熱した展開に、観客も息をのんだ。そのなかでも、山崎は冷静さを失わなかった。「相手がラリーしたくないのが伝わってきた」。コートに吹く風もうまく利用し、深いクリアで粘る山崎。長い打ち合いに持ち込むと、ワットゥタンはたまらず打ち急ぎ、その返球はラインの外に流れていった。
アウトになった瞬間、「こみあげるものがあった」と思わず手で顔を覆った山崎。「トップ選手に勝てて、手ごたえを感じた。応援してくれたたくさんの人に感謝したい」と話した。
粘りのプレーで相手のペースを乱した藤原
男子下肢障がいSL3の世界ランキング3位の藤原大輔(LINE)は、シングルス準決勝で同2位のマノージ・サルカール(インド)を下して決勝に勝ち上がった。決勝の相手、ダニエル・ベッスル(イングランド)も世界3位の強敵。とくに、ネットに絡みつくようなヘアピンは大きな武器で、藤原も序盤は苦しんだ。だが、集中力を切らさず、粘って拾いまくるうち、相手のミスが出始める。ゲームカウント1‐1で迎えたファイナルゲームは、藤原が主導権を握る展開に。マッチポイントで相手のサーブがアウトになると、藤原は大きくガッツポーズを作ってみせた。
逆転の優勝に、藤原は「ランキングが上の選手に勝つことが目標だったので嬉しい」と笑顔を見せた。
男子立位の上肢障がいSU5の浦哲雄(グリーンスタンプ)もシングルスで決勝に進出したが、リク・ハウ・チア(マレーシア)に世界ランク1位の実力を見せつけられ、ストレートで敗れた。
(取材・文/荒木美晴、撮影/佐山篤)