ウィルチェアーラグビー — 2017/5/28 日曜日 at 23:45:29

日本はアメリカに敗れ2位、”1点差”の壁から見えた収穫と課題

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大会MVPにも選出されたアメリカのチャック・アオキ(右)の厳しいプレスからボールを守る羽賀=千葉ポートアリーナ

大会MVPにも選出されたアメリカのチャック・アオキ(右)の厳しいプレスからボールを守る羽賀=千葉ポートアリーナ

ウィルチェアーラグビーのジャパンパラ競技大会の順位決定戦が28日、千葉ポートアリーナで行われた。予選2位の日本と3位のオーストラリアによる3位決定戦を実施。それに勝利した日本は決勝に進み、強豪アメリカと対戦したが、51-52で競り負け、準優勝に終わった。

2月に就任したケビン・オアー日本代表監督。アンフォーストエラーを減らすことを、テーマのひとつに掲げる(撮影/佐山篤)

2月に就任したケビン・オアー日本代表監督。アンフォーストエラーを減らすことを、テーマのひとつに掲げる(撮影/佐山篤)

3位決定戦はオーストラリアのエースであるライリー・バット(3.5)が欠場。日本は序盤から激しいプレッシャーで相手の動きを封じ、体力も消耗させた。後半、パスワークのミスから流れがオーストラリアに傾きかけると、日本のケビン・オアー監督はすぐさまラインを交代。迅速なベンチワークでリカバリーに成功し、69-55の大差で勝利した。

速いテンポで得点を重ねたオーストラリア戦から一転、決勝はアメリカと一進一退の攻防が繰り広げられた。アメリカは主軸のチャック・アオキ(3.0)を中心にゲームメーク。日本は動きの良い池透暢(3.0)や池崎大輔(3.0)が厳しくマークされるが、味方がしっかりとカバー。相手の厚いディフェンスを何度も突破することに成功し、前半を25-25の五分で折り返した。

その後も互いに譲らない展開が続き、延長戦も視野に入ってきた終盤、より集中力を増すアメリカに対し、日本はミスで連続得点を許してしまう。

試合時間残り1秒となったところで日本はタイムアウトを有効に使い、最後の攻撃チャンスにすべてをかける。正確なロングパスを得意とする池がコートサイドからゴール前で待つ羽賀理之(2.0)、池崎にピンポイントでボールを送り、キャッチしたかに見えたが、ほんのわずかの差で試合終了のブザーが鳴り、惜しくも得点にならなかった。

強豪相手のタフなトーナメントで2位に入った日本。東京に向け多くの可能性を感じた

強豪相手のタフなトーナメントで2位に入った日本。東京に向け多くの可能性を感じた

試合後、キャプテンの池は、「より細かいタイムアウトをとっていれば延長戦に持ち込めたのかもしれない。ゼロコンマ何秒の判断力が点差にあらわれた。アメリカはそういうミスをしなかった」と話し、”1点差の壁”を分析する。だが収穫も多く、「以前はアメリカに簡単に前に抜けられる場面が多かったが、今は相手がオールコートを走り回らないとゴールができないような状況になってきた」と、日本が強化してきたディフェンス力の成長を口にした。

今年から日本代表の指揮を執るオアーHCは、「戦略的なところでミスがあった。とくに最後の2分間のコントロールで課題があった」と振り返る。一方で、大会を通して、女子選手の倉橋香衣(0.5)や羽賀ら成長株の選手を積極的にコートに送り出し、新しいラインの可能性を引き出した。「彼らが(経験豊富な)池や池崎、島川(慎一)らと一緒にプレーし、こうしたプレッシャーのかかる大会に出ることは、世界選手権やパラリンピックを見据える上で大事な経験になる。日本チームの可能性につながる」と話し、選手の奮闘を評価した。

(取材・文・撮影/荒木美晴)