「2014ジャパンパラウィルチェアーラグビー競技大会」が10月10日から3日間の日程で、千葉市のポートアリーナで開催された。ジャパンパラ競技大会では初めてのウィルチェアーラグビー競技の大会開催となり、世界ランキング2位のカナダチームを迎えて行われた。試合はそれぞれ2チームが出場し、12日の決勝では日本AとカナダAが対戦。拮抗した試合展開となったが、地力に勝るカナダが56-54で勝利した。3位には日本Bが入った。
カナダはウィルチェアーラグビー発祥国で、2012年のロンドンパラリンピックでは銀メダルを獲得した強豪チームだ。一方の日本は世界ランキング4位。16年のリオパラリンピックでは悲願のメダル獲得を目指して、強化に力を入れている。
決勝は、第1ピリオドを終えて13-13と序盤から接戦に。第2ピリオドに入ると、池透暢(3.0)の体格を活かした攻撃などで日本が26-25とリードした。対するカナダは、8月の世界選手権(デンマーク)でMVPに輝いたZak Medell(3.5)が存在感を見せる。日本のディフェンスを翻弄する巧みな車いす操作とスピードでチームをけん引し、得点を重ねた。
カナダの4点リードで迎えた最終ピリオド。日本はエース池崎大輔(3.0)がスピーディーな動きでコートを縦横無尽に駆け巡る。また、ローポインターの若山英史(1.0)の相手の動きを読んだパスカットからゴールにつなぐと、ついに46-46の同点に追いついた。だが、カナダも必死のディフェンスで再びリードを広げ、日本を突き放した。
試合後、日本チームのキャプテンである官野一彦(2.0)は、カナダとの決勝を振り返り、「実力は変わらないと思うし、(日本が)ベスト4には確実に入れるチームになったと思う」と話した。その一方で「ただ、カナダはミスが少なく、基礎の部分で差を感じた。(世界の)3位以上を目指すなら、複数のラインが強くならないといけないし、チームの課題」と反省を口にした。
また、今月18日に開幕する仁川アジアパラ競技大会については、若手メンバーが海外遠征に慣れる貴重な場とし、「日本代表の自覚を持って、頑張ってほしい」とエールを送った。
(取材・文/荒木美晴、撮影/吉村もと)