女子マラソンオリンピックメダリストの有森裕子氏と日本人初の世界大会でのスプリント種目メダリストであり、男子400メートルハードルの日本記録保持者でもある為末大氏が、世界40か国以上でスポーツを通じた社会貢献活動に取り組んでいるLaureus(ローレウス)の新アンバサダーに就任することが決まり、両名の就任発表会が3日、オンラインで実施された。
有森氏は「世界で広く活動を 行っているこのような国際団体に参加させてもらえて本当に光栄」とコメント。為末氏も「私が現役時代に憧れていた選手たちと同じところにいると考えるとドキドキする。私自身もアジアの子どもたちにスポーツの力を広める活動をしている。ローレウスのような世界規模で活動している団体のアンバサダーになることができて本当に光栄。いろいろなことを学びながら、貢献出来たらよいと思っている」と挨拶した。
発表会には、2018年からローレウス・アンバサダーとして、ローレウスの活動をサポートしている元プロテニスプレイヤー杉山愛氏も参加し、新型コロナウイルス感染拡大により大きな打撃を受けたスポーツ界の未来などについて語り合った。
知的障害がある人たちにさまざまなスポーツトレーニングと競技会の機会を提供している国際スポーツ組織「スペシャルオリンピックス日本」の理事長を務める有森氏は、知的障害のアスリートのポテンシャルの高さに触れ、「固定観念を覆すような現場をたくさん見てきた。ローレウスのアンバサダーになったことで、よりこの世界を広めていきたい」と意気込みを述べた。
知的障害のアスリートのなかには、コロナ禍の影響で練習ができなくなるなど環境の変化に対し気持ちのコントロールが難しくなったり、強い不安を感じたりする選手も多いが、有森氏は「選手たちはもともと周りの人に生活や練習環境を作ってもらっている。コロナで大会が中止になるのも大変だが、周囲の人たちの変化を敏感に感じ取って不安になっている。彼らは私たちが笑顔でいれば、笑顔になる。周囲の人たちが笑顔を発信することが大事だと思う」と語った。
(文/荒木美晴)