その他 — 2025/4/16 水曜日 at 21:30:13

【飯塚2025】全米ジュニア女王の高室は同世代対決で敗戦も「あと1ピースそろえば勝てる」

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同世代のライバルとの対戦で積極的に打ち込む高室=いいづかスポーツ・リゾートテニスコート

「天皇杯・皇后杯 第41回飯塚国際車いすテニス大会(Japan Open 2025)」は10日、シングルス2回戦が行われた。

昨年、全米オープンのジュニアの部で優勝を果たした高室侑舞(SBCメディカルグループ)は今季からシニアに本格参戦。今大会は2回戦から登場し、同じ2006年生まれでパリ2024大会にも出場したクセニア・シャストー(フランス)と熱戦を繰り広げ、5-7、6(2)-7で敗れた。シャストーとの対戦は、昨年の全仏オープンのジュニアの部以来。その時は計4ゲームしか取得できずに敗れたが、今回は要所で高室がゲームメークする展開を作り、第2セットも先にセットポイントを握るなど進化を見せていた。結果としてシャストーに5連敗となってしまったが「これまでで一番学びがあった。あと1ピースそろえば勝てるかなと思う」と振り返った。

パリ2024大会の金メダリストである女子の上地結衣(三井住友銀行)は、2回戦から登場。岡野莉央(中京大)を6-0、6-2で退けた。1月のオーストラリア遠征以降、クレーコートで行われたワールドチームカップの予選、4月上旬のテグオープン、そして今大会と、それぞれテニス車のセッティングを少しずつ変えて使用しているという。「オーストラリアで少し違和感というか、挑戦したいと思うところがあった」といい、現在はトライアンドエラーを重ねながら、自分の身体にしっくりくるものを探しているところだ。そのなかで出場したメルボルンオープンでは李暁輝(中国)に、テグオープンでは王紫瑩(中国)にそれぞれフルセットで敗れている。2選手は今大会にもエントリーしており、上地は「以前から中国選手の強さは感じていた。これから怖い相手になっていくと思うけれど、しっかり分析して、対応策を練っていきたい」と話した。

高校1年の松岡星空(日本ガイシ)は、その王と2回戦で対戦。1-6、4-6で敗れたものの、終盤まで高い集中力を維持し、食らいついた。松岡は、「こんなに強い選手と試合ができて嬉しかった。もっとリターンを磨いて、精度よく戦えるようにしたい」と言葉に力を込めた。

また、高室と岡野は、昨年の全米オープンのジュニアの部のダブルスで見事優勝を飾っている。今大会もペアを組み初戦に臨んだが、オランダペアにストレートで敗れた。

強化してきた鋭いサーブを打ち込む小田

パリ2024パラリンピック男子金メダリストの小田凱人(東海理化)は第1シードでこの2回戦から登場。1年ぶり2度目の対戦となる世界ランキング34位のジェフリー・ジャシアック(フランス)を6-0、6-3で下した。今年1月の全豪オープン以来、約3カ月ぶりの公式戦。去年より参戦する大会数を減らしているといい、「より練習にフォーカスしたかった。全豪後の練習もうまくいっていて、今日も調子がすごく良かった。レシーブやサーブ、全体的に強化を意識していて、さらにアグレッシブというものを極めたい」と話した。

クアードは、川野将太(シーズアスリート)が世界ランキング1位のニールス・フィンク(オランダ)と初対戦。パリ2024パラリンピックの金メダリストを相手に粘りを見せたが、ゲームを奪えずストレート負けを喫した。川野は昨年の10月以降、大会には出ずに練習やトレーニングに重点を置き取り組んできたという。そのため、現在は世界ランキングこそ60位前後まで落ちているが、初戦では世界ランキング32位の台湾の選手にストレート勝利するなど結果につなげている。川野はシングルスを振り返り、「フィンク選手相手だと何かを試す余裕はなかったけれど、世界ランキング20位くらいの選手がエントリーする大会に僕も出て、いろいろとトライしていきたい」と話した。

(取材・文・写真/荒木美晴)