ブラインドサッカー — 2021/5/30 日曜日 at 17:16:02

【WGP2021】日本がフランスに勝利し、白星スタート!

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試合開始から53秒で得点を挙げた日本のキャプテン・川村=品川区立天王洲公園(提供:日本ブラインドサッカー協会/鰐部春雄)

国際視覚障害者スポーツ連盟(IBSA)公認の国際大会「Santen IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ2021 in 品川」が30日、東京・品川区立天王洲公園で開幕した。日本(世界ランク12位)、アルゼンチン(同1位)、スペイン(同3位)、タイ(同13位)、フランス(同14位)の5カ国が参加し、頂点を争う。初日は日本はフランスと対戦し、1-0で勝利した。

Match 2:日本 1-0 フランス

海外勢との試合はアジア選手権以来1年半ぶり、ヨーロッパチームとの試合は2年以上ぶりとなる日本代表。重要な初戦の緊張感を切り裂いたのは、試合開始から53秒、キャプテン川村怜の強烈な先制シュートだった。右サイドの攻防からボールをキープした田中章人がいったん自陣に持ち込み、左サイドへ移動した川村にスルーパス。川村は冷静に相手ディフェンダーかわして右足でシュートを放ち、ゴール右隅に決めた。

守備ではコンパクトな陣形で素早く相手の動きに対応。幾度とドリブルで攻めあがろうとするフランスのエース、フレデリック・ヴィルルの行く手を阻み、攻撃の芽を摘んだ。後半は引き気味に守り、相手の陣形を確認しながらプレーする時間帯が増えたが、GK佐藤大介がゴールを死守。勝利した日本は貴重な勝ち点「3」を手にした。

試合後、高田敏志監督は「我々の目標は決勝進出。泥臭くても勝ち点3を取れたのはよかった。フィジカルに勝る外国人選手はフリーだと思う場面でも足を出してきたり、距離感がフィットしない時間帯が長く難しかったが、ゲームでないとわからないことなので今日はいい経験になった」とコメント。開始早々に先制点を挙げた川村は、「立ち上がりはシンプルにボールを回そうと話していた。あのエリアでスペースが生まれるのは分析していたし、得意とする形で点が取れて理想的だった」と振り返った。

Match 1:タイ 3-2 スペイン

格上のスペインを相手に勝利したタイ。パンヤーウッ・クパンの活躍が光った(提供:日本ブラインドサッカー協会/鰐部春雄)

開幕戦は、世界ランク13位のタイが同3位のスペインを3-2で破る大金星を挙げた。前半13分と20分に、アジア選手権得点王のパンヤーウッ・クパンが鮮やかなシュートでゴールネットを揺らしリード。後半に入り、そのパンヤーウッ・クパンが負傷により一時退場するとスペインが攻撃に転じ、7分にアントニオ・ヘスス・マルティン・ガイタンが相手GKの死角から左足を振りぬき得点。これでスペインに流れが傾くかと思われたが、14分にはタイのギッティコーン・バゥディーが3点目を決めて突き放した。試合時間残り40秒でスペインが第2PKで1点を返すが、追いつくことはできなかった。

ワールドグランプリは2018年に新設された大会。日本を舞台に3年連続で開催予定だったが、昨年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止となった。2年ぶりの実施となった今大会は無観客開催とし、全試合オンラインで試合の様子を配信する。大会は世界1位のアルゼンチンが2連覇しており、日本代表は18年は5位、19年は4位の成績をおさめている。今大会は総当たり戦を行い、1位から5位までの順位が決まった後、最終日の6日に3位決定戦と決勝戦を行う。海外勢との試合から遠ざかっている日本代表にとって、東京2020パラリンピック前の貴重な実戦の機会となる今大会。持ち味の組織力を活かして、強豪相手にどんなプレーを見せてくれるのか楽しみだ。

(取材・文/荒木美晴)