ブラインドサッカーのクラブチーム日本一を決める「第19回アクサブレイブカップブラインドサッカー日本選手権」の22日、東京都八王子市の東京フットボールセンター八王子富士森競技場で開催された。決勝はfree bird mejirodaiが4-0でbuen cambio yokohamaを下し、初優勝を果たした。
序盤から試合を支配したfree bird mejirodai。前半4分と5分に鳥居健人が連続ゴールを決めてリードすると、同18分に丹羽海斗が相手ディフェンダーに囲まれながらもボールをキープして得点。その1分後には園部優月が追加点を挙げ、大きく引き離した。ゴールキーパーの泉健也も堅い守りと選手への的確な指示で勝利に貢献。試合終了のホイッスルが鳴ると、メンバー全員で初優勝の喜びを分かち合った。
筑波大学附属視覚特別支援学校に在籍する学生とOBを中心とするチーム。「ピッチの中なら自由に走り回れる、自由に飛べる」という選手の想いが、チーム名に込められている。2016年の結成以来、フィールドプレーヤーがどのポジションでも役割を果たす「トータルフットボール」を目標として練習を重ね、2019年の日本選手権で初めて決勝に進出。この時は埼玉T.Wingsに敗れて準優勝に終わり、その悔しさをバネにさらに個人技と組織力に磨きをかけてきた。
今大会のMVPに選出された鳥居は、「その成果をこの舞台で発揮できた」と語り、喜びをかみしめた。また、ベストGKに選ばれた泉は、「前回大会では7失点。ゴールキーパーとしてその悔しさを今回、断ち切れた。今後は追われる立場になるが、チャレンジャー精神を持ち続け、もっと完成度を上げていきたい」と言葉に力を込めた。
また、決勝に先立ち行われた3位決定戦は、コルジャ仙台ブラインドサッカークラブがA-pfeile広島BFCに4-2で勝利した。コルジャ仙台ブラインドサッカークラブは、佐藤翔が前半と後半にそれぞれ2点ずつマークする活躍を見せ、初めて3位に入った。
同チームは晴眼者が多く在籍し、今大会の視覚障害がある選手のエントリーは2名のみ。佐藤暢監督は、「東京パラリンピックが終わったあとも競技の注目度や熱を冷まさずに継続していくことを目指している。チームに視覚に障害がある選手が少ないので、これから増やしていきたい」と抱負を語った。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)