国立代々木競技場第一体育館で開かれている「ヒューリック・ダイハツJapanパラバドミントン国際大会2024」は25日、決勝トーナメントの準々決勝が行われた(一部クラスを除く)。
男子SU5シングルスは、今井大湧が台湾の選手に21-17、22-20で競り勝ち、準決勝進出を決めた。第2ゲームは14-9と先行したあと、連続失点を許して相手にゲームポイントを与えてしまう。しかし、そこから自身のミスを修正し、相手のアウトを誘う力強いショットなどで6連続得点に成功し、ゲームを取り切った。バドミントンは3位決定戦がないため、今井の銅メダル以上が確定した。
パリ2024パラリンピックでは予選敗退。だが、東京大会の時にはなかった満員の観客が見守るなかでプレーする喜びと興奮を味わった。パラリンピックの予選リーグの1勝は「稲妻が落ちたみたいな感覚を覚えた」といい、「スポットライトが当たり、主人公になったような気がした。優勝したらもっとすごい景色が見られるのかなと思ったし、メダル獲得が“目標”から“絶対、欲しい”に変わった」と振り返る。
今大会はパリ大会後に臨む最初の公式戦で、そのロスに向けた一歩目となる。パラリンピック直後でトップ選手はエントリーを見送っているが、初出場を叶えた選手らが参加している。「だからこそ、しっかりと勝ち切りたい」と今井。次戦でも自分のプレーを見せるつもりだ。
5人がエントリーし、総当たりで争う女子SL3シングルスは、武田佳乃が最終戦に挑み、カンボジアの選手を21-16、21-14で退け、2勝目を挙げた。この結果、もうひと試合を残して武田の3位が決定。国内の大会を含めて表彰台に上がるのは初めてだといい、「すごく嬉しい。今大会を足がかりに実績をどんどん積んでいって、最終的にはパラリンピックに出場できるようになりたい」と笑顔で話した。
女子SL4シングルスは、初出場の中村鈴がモンゴルの選手をストレートで撃破。準決勝ではパリ大会日本代表で第1シードの藤野遼と対戦する。また、女子WH1シングルスの友寄星名もポーランドの選手に勝利し、自身初となるメダル獲得を確定させた。準決勝では憧れでもあるパラリンピック金メダリストの里見紗李奈に挑むことになり、「ベストを出したい」と力強く語った。
男子WH1シングルス準々決勝は、長島理がイタリアの選手に、村山浩がポーランドの選手に、大山廉織がフランスの選手に、また西村啓汰が飯塚裕人にそれぞれストレートで勝利し、4強入りを果たした。例年と比べてエントリー数が少ないとはいえ、日本の選手層の厚さが際立つ結果に。そのなかで存在感を放つ大山は、「優勝を目指したい。また、自分としては(昨年敗れた)日本選手権の前哨戦という意味合いもある。長島選手と村山選手はパラリンピックに出場し、西村選手も最終選考まで戦っていた。僕にはその経験が足りてないけれど、しっかりとその差を埋める覚悟と責任を持って戦い抜きたい」と、言葉に力を込めた。
(取材・文・撮影/荒木美晴)