
「パラ水泳ワールドシリーズ富士-静岡2025」は11日、富士水泳場で競技2日目が行われた。ワールドシリーズは障害によるクラス分けが異なる選手たちが一緒に泳ぎ、クラス別に算出したポイントシステムで種目ごとに順位を競う。
男子100m背泳ぎは、窪田幸太(S8/NTTファイナンス)が予選で全体の1位となる1分7秒26で泳ぎ、世界選手権の派遣基準記録を突破。今大会は獲得ポイントで順位が決まるため、「必ず決勝に行けるとは限らない状況だったので、予選にかけるつもりで泳いだ」と窪田は話し、「タイムよりもレースを通してフォームが安定していたことが良かった」と振り返った。決勝も7秒台で泳ぎ、金メダルを獲得した。2位には山口尚秀(S14/四国ガス)が入り、予選を全体の2位で通過した荻原虎太郎(S8/セントラルスポーツ)は4位だった。
男子400m自由形は、この種目を得意とする川渕大耀(NECグリーンスイミングクラブ溝の口)がユース決勝に進出し、予選のタイムを10秒以上短縮する4分18秒16で優勝。世界選手権のU21の派遣A記録も突破した。決勝でも3位相当となる好パフォーマンスに、川渕は「今大会はレベルが高くてここまでA決勝にも残れず悔しかったけれど、しっかり気持ちを切り替えて臨めた」と力強く語った。

女子50m自由形は、石浦智美(S11/伊藤忠丸紅鉄鋼)が予選で30秒28をマーク。世界選手権の派遣基準記録をクリアした。決勝ではパリ2024大会金メダリストのMA Jia(中国)に競り勝ち、銀メダルに輝いた。レース後は「29秒台に乗せたかった」と唇をかんだが、「今大会を通してスタートの課題も見えたし、これから泳ぎの精度を上げていきたい」と話し、前を向いた。なお、石浦は同100m背泳ぎも予選で派遣Bを突破した。
パリ2024パラリンピックは50m自由形で10位、同100mで8位、100m背泳ぎで9位。37歳になった今年もオリンピック選手も教える高城直基コーチとタッグを組み、「まだ伸びしろがある」と強化に着手。腕の回転数で押し切るパワー型から、大きなストロークからひとかきで距離を延ばす泳ぎへと変更するなかで今大会を迎えたといい、「その修正ができている。世界選手権ではメダルを獲りたい」と、力強く語った。
(取材・文/荒木美晴、写真/植原義晴)