水泳 — 2025/4/11 金曜日 at 21:35:34

【WS2025fuji】自己ベスト更新の前田「世界の強豪と競い、刺激を受けた」

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女子200m個人メドレーで力強い泳ぎを見せた前田=富士水泳場(撮影/植原義晴)

「パラ水泳ワールドシリーズ富士-静岡2025」は11日、富士水泳場で競技2日目が行われた。ワールドシリーズは障害によるクラス分けが異なる選手たちが一緒に泳ぎ、クラス別に算出したポイントシステムで種目ごとに順位を競う。

女子200m個人メドレーは、前田恵麻(SM9/福井工業大)が予選で得意の背泳ぎで後半のラップタイムを伸ばし、自己ベストを3秒近く短縮する2分45秒78をマーク。目標にしていたという世界選手権の派遣B-U21基準記録をクリアし、「今までギリギリでタイムが届かず出場を逃してきたのでうれしい」と笑顔を見せた。決勝ではタイムを落として7位となったものの、力強い泳ぎで存在感を示した。

前田は4歳の時に事故で左腕の肘から先を欠損。リハビリで水泳を始め、小学5年から本格的に泳ぎ始めるとメキメキと頭角を現し、ジャパンパラ競技大会などに出場。今年度は日本パラ水泳連盟の育成指定選手に選出されている。このレースでは同クラスのパリ2024大会の同種目の銅メダリストと競い合うなど、世界のトップスイマーらとしのぎを削ることができた。「すごいチャンスだと思った。一緒にレースができてすごくいい刺激を受けた」と振り返った。

女子200m自由形は、福井香澄(S14/TOTO)が銅メダルを獲得した。ユースの木村倖彩(S14/ブルーすばる)は8位だった。

男子100mバタフライで金メダルを獲得した松田(中央)と2位の村上(左)。同じ所属先で切磋琢磨する仲だ

男子100mバタフライは決勝に日本人5人が駒を進め、松田天空(S14/NECグリーンスイミングクラブ溝の口)が優勝を果たした。松田は、「感覚はよかった。後半少し浮いてきたけれど、粘ることができた」と振り返った。予選1位の村上舜也(S14/同)は2位に入った。視覚障害クラス11のパリ2024パラリンピック金メダリストの木村敬一(東京ガス)は6位、南井瑛翔(トヨタ自動車)は7位だった。15歳の日本代表最年少でパリ2024大会に出場した川渕大耀(NECグリーンスイミングクラブ溝の口)は、同種目のユース決勝で準優勝だった。

男子50m平泳ぎは、パリ2024大会金メダリストの鈴木孝幸(GOLDWIN)が予選で52秒36のトップタイムをマーク。「50秒台を出せれば」と話していた決勝では、49秒49で泳ぎきり、金メダルを獲得した。「タイムも良かったし、非常にうれしい」と充実した表情を見せた。

男子200m個人メドレー決勝は、山口尚秀(SM14/四国ガス)が予選から5秒以上タイムを縮めて1位でゴール。荻原虎太郎(SM8/あいおいニッセイ同和損保)は自己ベストをマークして4位に入った。また、田中映伍(S5/東洋大)は決勝進出こそ逃したものの、予選で自己ベストを更新する3分11秒87で泳いだ。3月にスペインで開かれたワールドシリーズでも大ベストの12秒台をマークしていた田中。今までは他の選手に水をあけられていた平泳ぎで踏ん張れるようになったことが結果につながっているといい、「最後まで力を出し切れているし、持久力をつける練習の積み重ねが活きてきていると思う」と振り返った。

(取材・文/荒木美晴、写真/植原義晴)