車いすテニス — 2025/9/10 水曜日 at 10:04:00

生涯ゴールデンスラム達成の小田が凱旋会見「世界を変えたい」

by
全米オープンで優勝し、生涯ゴールデンスラムを達成した小田。帰国会見で想いを語った

パリ2024パラリンピック金メダリストで、テニス全米オープンの車いすの部で優勝を果たし、パラリンピックと4大大会を制する「生涯ゴールデンスラム」を19歳で達成した小田凱人(東海理化)が9日、帰国会見を行った。

全豪オープンは2024年に初制覇し、全仏オープンは23年から3連覇中、ウィンブルドンは23年と今年の2度優勝している小田。全米オープンは初出場の22年はベスト8、23年は1回戦敗退で、3度目の挑戦となった今年、ついに頂点に立った(昨年の車いすの部はパリ2024パラリンピックとの日程被りで実施されず)。

車いすテニス界では、19年に28歳でディラン・アルコット氏(クアード/オーストラリア)、21年に24歳でディーデ・デ フロート(女子/オランダ)、22年に38歳で国枝慎吾氏(男子)が生涯ゴールデンスラムを達成しており、小田は4人目となり、10代での達成は史上初の快挙だ。

次戦は東京・有明で開かれるジャパンオープンを予定している小田。「たくさんのに観に来てもらいたい」と観戦を呼び掛けた

会見で小田は、「自分でもどこまで行けるのか、どこに着地するんだろうと感じている。今は自由にいろんなことに挑戦していて楽しいし、ひとりのメッセンジャーでありたいと思っている。めっちゃ勝った人というより、何かを変えた人でありたい。世界を変えたい」とコメント。そして、「自分のなかでは1位という感覚はなくて、5位くらいに感じている。ちゃんと1位だなと思えるまでもっと頑張るので、これからも応援よろしくお願いします」と結んだ。

全米オープン決勝では、準決勝でアルフィー・ヒューエット(イギリス)を破ったグスタボ・フェルナンデス(アルゼンチン)と対戦。1セットオールで迎えた第3セットは互いに粘りを見せて、10ポイント先取のタイブレークに突入。相手の4度のチャンピオンシップポイントをしのぎ、逆転優勝を果たした。また、フェルナンデスと組んだダブルスでも決勝に進み、パラリンピック金メダルのヒューエット・リード組(イギリス)をスーパータイブレークの末に下して優勝しており、見事単複2冠を達成した。

(取材・文・写真/荒木美晴)