車いすテニス — 2025/10/18 土曜日 at 22:51:38

【木下JO大阪2025】高室冴と田中が決勝進出! ダブルスも両者のペアが接戦を制す

by
シングルスで決勝進出を果たした髙室冴綺=モリタテニスセンター靱(撮影/植原義晴)

「木下グループ・ジャパンオープン車いすテニスチャンピオンシップス2025」は18日、シングルスの準決勝が行われた。第3シードの高室冴綺(スタートライン)は準々決勝を不戦勝で勝ち上がった15歳の松岡星空(日本ガイシ)と対戦し、6-0、6-3で下し、決勝進出を決めた。

高室冴は相手の第1セットの第1ゲーム、相手のサービスゲームでいきなりリターンエースを3本連続で決めてラブゲームでブレークに成功。その勢いで主導権を握り、ラブゲームでセットを奪った。第2セットは松岡も意地を見せてラリーに持ち込み鋭いショットでポイントを取るが、丁寧な配球で試合を構築した高室冴が勝ち切った。

高室冴は試合後に会見に臨み、「日本人の若手選手と対戦するのが一番緊張する」と苦笑いを浮かべつつ、「松岡選手とはローカルの大会で対戦しているけれど、ITFの大会では初対戦。正直、どういう試合運びをしてくるか分からなかったけれど、だからこそ相手を動かして、打ちづらいところに打つということにフォーカスした」と振り返った。

準決勝のもうひと試合は、第2シードで世界ランキング13位の田中愛美(長谷工コーポレーション)が第4シードの高室侑舞(SBCメディカルグループ)に4-6、6-3、6-2で勝利し、3大会連続の決勝進出を果たした。序盤から冷静な試合運びで主導権を握ったのは高室。田中とはこれまで2戦していずれもストレートで敗れており、初めてセットを奪った形だ。そして、第2セットも高室侑のブレークからスタート。だが、経験豊富な田中は徐々に試合のリズムを作り、第5ゲームはここまで不調だったサーブが冴え、2連続でエースを決めてゲームカウントを2-2のタイに戻した。さらに第8ゲームをブレークした田中が第2セットを奪い返し、その勢いを維持した田中が2時間21分の激闘を制した。

決勝は、高室冴とのカードとなり、田中は「よく知った仲。しっかりと集中して、自分のテニスをしたい」と言葉に力を込めた。

接戦となったダブルス決勝を制し、笑顔で写真におさまる田中(右)と高室冴

ダブルス決勝は、第1シードの高室冴・田中組が第2シードの岡野莉央(中京大)・高室侑組に6-2、4-6、10-6で勝ち、頂点に立った。第1セットは高室冴・田中組が要所でコンビプレーを発揮し、主導権を握った。一方の岡野・高室侑組は第2セットに入ると相手ペアのリズムを乱す間を抜くショットなどで第2セットを取り返し、10点先取のマッチタイブレークに突入。序盤は1点を争う展開となったが、後半は相手のダブルフォルトやリターンエースなどで得点を重ねた高室冴・田中組が制した。第1回大会から出場している田中は、ペアは異なるものの、ダブルス3連覇を達成した。

30歳の高室冴と29歳の田中は普段から仲が良く、練習をともにする機会も多い。ペアを組むのは、昨年8月のオーストリアでの大会以来だったが、戦術を共有し、息の合ったプレーで魅せた。高室冴は田中に対して、「チェアワークがすごく速く、他の選手だったら取れないなというボールもカバーに入ってくれてすごく助かった」とコメント。また田中も高室冴について、「戦術について、また多少無理そうなことも、私の言うことを素直に聞いてくれた」と笑いつつ、「私が他の人がやらないような動きをしたときも、受け止めてくれる。すごく助かった」と、互いにパートナーを称えた。

(取材・文/荒木美晴、写真/植原義晴)