【ミラノ・コルティナ2026】16年ぶり勝利はならず、スロバキアに敗れて日本は8位

センターフォワードとしてチームをけん引した20歳の鵜飼=ミラノ・サンタジュリア・アイスホッケーアリーナ(撮影/植原義晴)

ミラノ・コルティナ2026パラリンピック冬季競技大会は現地時間の14日、パラアイスホッケーの7-8位決定戦が行われ、日本はスロバキアに0-1で敗戦。5戦全敗で最下位となった。

第1ピリオド5分、日本は守備からチャンスをつくる。自陣でクリアしたパックに伊藤樹(FW)が反応し、左サイドから前線へと運ぶと、鵜飼祥生(FW)を経由して新津和良(FW)へパス。新津は体勢を崩しながらシュートを放ったが、相手GKに阻まれた。その後は押し込まれる時間が増えたものの、GK堀江航が7本のシュートを冷静に防いだ。

第2ピリオド2分には、日本が反則を取られ数的不利となるが、守備でしのぐ。中盤以降は新津や熊谷昌治(FW)を起点に伊藤が前線に飛び出す形で攻撃を組み立てたが、得点には至らなかった。最終ピリオドは中盤にスロバキアの反則が重なり、一時はプレーヤーが2人多い最大のチャンスを迎えるが攻めきれず。それでも諦めずにパスをつなぐが、終盤には前線に出したパックが不運にも味方の背後に当たって跳ね返り、そのパックを相手に拾われてシュートを打たれる。さらにそのシュートがゴール前の味方に当たり、失点を許した。残り1分半を全員で守り切るが、これが決勝点となり、敗れた。

日本は2大会ぶりにパラリンピックに出場。銀メダルを獲得した2010年のバンクーバー以来、16年ぶりの勝利はならなかったが、若手・中堅、ベテランが融合した「ハイブリッド・ジャパン」で大舞台に挑んだ。とくに初出場組の存在感は試合ごとに増し、20歳の鵜飼祥生(FW)は全試合でスタメン出場し、司令塔としてチームをけん引。同級生の森崎天夢はFW登録ながらDFとして起用され、守備の主軸である28歳の石川雄大、55歳の須藤悟らとゴール前を支えた。

万全の体調ではないものの、最後まで駆け抜けた伊藤

同じく20歳の伊藤はエースに成長。ただ、2カ月前に体調不良で開腹手術を受け、急ピッチで大会には間に合わせたものの、スケーティングやスピードが以前のレベルに戻るところまではいかなかった。もどかしさを感じながらの5試合となり、「憧れのパラリンピックだったのに、ずっとしんどかった」と絞り出す。それでも、「最後は自分ができる精一杯のことを出し切った」と話し、「メダルを獲るような上位国は、その重圧や覚悟を背負いながら戦っているんだと肌で感じた。自分たちはそれを知らずにこの結果になっているので、ここをスタートにしてこれからの4年間は死ぬ気で努力する」と力強く語った。

◇以下、選手・監督のコメント◇

熊谷昌治(FW/キャプテン)
力の差を見せつけられ、悔しさの残る大会だった。それでも中心となる若い選手たちはチェコ戦などで活躍をしてくれた。この経験は彼らの原動力になると思うし、自分も引き続きサポートをしていきたい。

新津和良(FW)
今大会が最後になる選手もいるなか、何とか7位以上をプレゼントしたいという思いでプレーしていた。次のパラリンピックまで、4年あるようで短い。気持ちを切り替え、身体を鍛え直し、次はトーナメントを勝ち抜いて必ずリベンジしたい。

鵜飼祥生(FW)
大事な場面で決め切る力が足りなかった。自分自身もシュートをポストに当てるなど精度が低く、ふがいなさを感じた。それでもこのチームで勝ちたかった。応援してくれた人たちにまだ何も返せていないので、日々の積み重ねからやり直したい。

須藤悟(DF)
日本は世界のスピードや海外勢特有のリーチの長さに対峙する経験が圧倒的に足りず、最後までリズムをつかめなかった。DFは後ろから試合を見守り、ゲームのリズムを取る重要なポジション。パラアイスホッケーを観て、やってみたいという人が増えてくれたらうれしい。

試合後、整列して観客にあいさつるす日本代表

河原優星(FW)
自分で前線に運ぶ場面もあったのに得点できず、期待に応えられなかった。吉川選手や須藤選手にはJ-STARプロジェクト生の時から教えてもらってきただけに、申し訳ない気持ち。世界選手権では第1セットに入れるよう頑張りたい。

吉川守(FW)
アイスタイムは長くなかったが、自分の役割は果たせたと思う。若い選手の頑張りを同じ目線で見られたことも良かった。怪我を抱えながらも6度目のパラリンピックに立てたことは本当に嬉しく、感謝の気持ちでいっぱい。

三澤英司(FW)
パラリンピックで勝つことの難しさを改めて実感した。若手には、プレーだけでなく日常生活でも日本代表としての誇りを持って取り組む大切さを伝えてきたつもり。彼らにとってはここがスタートなので、その想いを次へつないでほしい。

石川雄大(DF)
今の日本の現在地がはっきり見えた大会だった。低迷期を思えば出場できたことは一歩前進だが、上に進むことの難しさも痛感した5試合だった。足りない部分を見つめ直し、4年後にまたこの舞台へ戻ってきたい。

福西朱莉(DF)
男女に関係なく実力不足で、自分は「点を取ってくれ」と声を出して仲間を送り出すことしかできなかった。パラリンピックは楽しい場所だと思っていたが、こんなに苦しい舞台なのかと痛感した。4年後は主力として必ず戻ってきたい。

森崎天夢(DF)
競技を始めてから先輩たちが3年間支え続けてくれた。そのおかげでパラリンピックの舞台に立てたことに感謝しかない。みんなの想いを背負い、4年後も必ず出場していい結果を目指したい。

伊藤樹(FW)
GK堀江さんが守ってくれたのに得点できず、本当に申し訳ない。ただ、この経験は4年後にメダルを争うための礎になると思う。パラリンピックの景色と悔しさを忘れず、原動力にしていきたい。

中北浩仁監督
相手が2人ペナルティで退場した場面で得点できなかったことが敗因。ただ、初出場の12人にとっては大きな経験になったはず。6大会目となる吉川(守)や三澤(英司)がなぜ長くトップで戦えるのか、またパラリンピックがどれほどシビアな舞台なのかを肌で感じたと思う。そういう意味でも、大事な大会だった。

(取材・文/荒木美晴、写真/植原義晴)