日本はアメリカに敗れて三位決定戦へ

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セミファイナルで惜しくもアメリカに敗れた日本代表

カナダ・バンクーバーで開催されているアイススレッジホッケーカナダカップは現地時間の28日、セミファイナルの2試合が行われた。予選2位の日本は同3位のアメリカと対戦。試合開始早々に先制点を挙げられたのち、一進一退の攻防を繰り広げるが逆転できず、2-3で敗れた。日本は1日に行われる三位決定戦でドイツと対戦し、銅メダル獲得を目指す。決勝は、カナダ対アメリカ。

27日のオフは、練習をキャンセルし、全員の休養とリフレッシュに充てた日本代表。試合前、相手のアメリカは今大会を見る限り、フォワードが機能していないと分析。一方の日本は、ディフェンス勢のシュートやダブルアシストで得点する場面がいつもより多く見られ、ディフェンスゾーンでパックに寄りすぎるミスさえ注意すれば、確実に勝利を呼び込めると気合十分であった。

しかし、第1ピリオド開始直後、日本のペナルティをきっかけに痛い先制点を与えてしまう。勝利への思いとは裏腹に、しばらくの間はアメリカのペースで試合を運ばれ、さらに日本のパワープレーの場面で上原大祐(FW)のパスミスから2点目を献上。

早くも敗戦ムードが漂い始めた日本。しかしその悪い流れを断ち切ったのは、須藤悟(DF)だった。相手の2点目の直後、ブルーラインからのシュートをゴール左隅に放ち、待望の得点を挙げる。そして、その約4分後、細かくつないだパスを受け取った上原が、汚名返上とばかりにシュートを決めて、イーブンに。約4分間で2本のシュートで試合を振り出しに戻す、今までには無かった強さを垣間見せた。

第2ピリオドのフェイスオフは、遠藤隆行-上原大祐-伊藤仙孝の超強力ファーストラインでスタート。しかし、アメリカも体を入れたフォアチェックでこれに対抗し、両チームとも試合の流れを引き寄せられない。その状況のなかで試合が動いたのは、またもやペナルティからであった。2分53秒に、インターフェアランスで安中がペナルティボックスへ。その間に、この試合2回目のパワープレーゴールをアメリカに決められ、勝ち越しを許す。その後日本は、遠藤や伊藤のノーマークからのシュートを含め8本のシュートを相手ゴールに浴びせるが、ことごとく決まらず、得点が奪えないままピリオドは終了。

2ピリを終わって2-3と、カナダ戦と同様に追いかける展開で突入した最終ピリオドは、お互い譲らず一進一退の攻防が続いた。しかし、両チームともこれまでの激戦から疲労が蓄積しているのか、流れを呼べず、時計の針だけが進んでいく時間帯が続いた。試合時間残り56秒には、日本がゴールキーパー永瀬充を上げて、6人攻撃を仕掛けるが、ここでも決定的なシュートチャンスが作り出せずに、試合終了。日本は2-3で敗れ、最終日はドイツとの3位決定戦に回ることになった。

この試合、十分に勝算があったのにもかかわらず敗れた原因のひとつに挙げられるのは、やはり『決定力不足』だろう。シュート数は、日本17本、アメリカ12本。こうした試合では、ノーマークのシュートを必ず決めなければ、パワープレーゴールをものにしてくるアメリカには及ばない。青木栄広コーチは、「明日はなんとしてでも勝って、2010年のバンクーバーパラリンピックに続く階段の次のステップを力強く踏みしめたい」と語り、奮起を誓っている。

試合結果

・日本 2-0-0=2(得点:須藤、上原 アシスト:安中、高橋、吉川)

・カナダ 2-1-0=3

(原稿・写真提供/青木栄広日本代表コーチ、編集/荒木美晴)