パラバドミントン世界選手権は24日、各種目の準決勝等が行われ、車いすWH1女子の里見紗李奈(NTT都市開発)、上肢障害SU5女子の鈴木亜弥子(七十七銀行)がそれぞれ決勝進出を決めた。
23日に4強入りを決めたダブルス6組はいずれも敗退したが、銅メダルを手にしている。また、24日は新たに車いす男子WH2の渡辺敦也(アキレス)、同女子の小倉理恵(ブリヂストン)、SU5の亀山楓(高速)がシングルスで3位に入った。
渡辺は準決勝で世界1位のJungjun KIM(韓国)と対戦し、19-21、13-21で敗れたが、WH2男子の日本人としては初のメダル獲得の快挙。「負けてしまったので悔しいけれど、自分史上で一番良かったと思う。世界選手権でプレーできたことに感謝したい」と話し、充実した表情を見せていた。
山崎悠麻(NTT都市開発)は、体調不良のため単複とも棄権。シングルス準々決勝で対戦予定だった小倉は不戦勝となり、山崎の想いを背負って準決勝に臨んだが、中国の選手にストレートで敗れた。「山ちゃん(山崎)が棄権してしまったから、その分も全力で戦おうと思っていたけれど、叶わなくて……」と、涙ながらに仲間の無念を思いやった。それでも試合では粘って相手を追い込む場面を幾度と作り、「自分なりに戦えた。いままでのなかでは一番手ごたえを感じた」と振り返った。
鈴木の決勝は健常と同じメインホールで
日本勢で決勝進出を決めたのは、女子シングルスのふたり。
SU5の鈴木は動きの硬かった予選リーグの初戦こそフルゲームでの勝利となったが、2戦目から準決勝まではすべてストレート勝ち。「決勝進出が最低目標」と話していた通り、最終日に駒を進めた。
決勝の相手は、最大のライバル・楊秋霞(中国)だ。前回の世界選手権決勝でも対戦し、フルゲームの死闘を鈴木が制しているが、それ以降は勝ち星がなく、今年は3月のトルコ国際、4月のドバイ国際で敗れている。楊は予選グループ内に棄権した選手がいたため鈴木より少ない試合数で決勝に勝ち上がっており、「(楊に対して)ここまでやりにくそうにしているな、という印象を受けている。そういう状態のなかで自分が勝ち切れるかどうか」と、鈴木。
鈴木の決勝戦は25日午前8時半から、健常の試合が行われているメインホールで実施されることが発表された。「シャトルの飛び方など、空間の感覚をはやく掴んで戦いたい」と、最後の一戦に向けて気合いを入れていた。
車いすWH1の里見は、準決勝で第2シードのKarin SUTER-ERATH(スイス)を21-14、21-13のストレートで下した。決勝では「ずっと憧れている」というタイのSujirat POOKKHAMと対戦する。アジアパラ競技大会では銀メダルを獲得している強敵だが、「彼女と世界選手権の決勝で戦えるのはすごいこと。どこまで自分ができるのか確かめたい」と話していた。
(取材・文・撮影/荒木美晴)