国際トライアスロン連合(ITU)が主催する「世界パラトライアスロンシリーズ横浜大会」が18日、横浜市の山下公園周辺の特設会場で開催された。パラリンピックメダリストを含む世界のトップ選手が集結。日本勢ではPTS4男子の宇田秀生(NTT東日本・NTT西日本)がトップと1分84秒差の1分4秒27をマークし、銅メダルを獲得した。
リオパラリンピックから正式競技となったパラトライアスロン。レースの距離は一般の半分で、スイム750m、バイク20㎞、ラン5㎞の計27.75㎞。障害の内容や程度により6クラスに分かれ、それぞれ男女別にレースを行う。
PTS4男子は8選手が出場。宇田は課題とするスイムを終え7番手だったが、バイクとランで挽回し、メダルを掴んだ。「表彰台を狙っていたので、素直に嬉しい」と宇田。東京パラリンピック出場を目指す宇田は、パラリンピックのレース当日にたくさんの応援のなかで走る自分をイメージしてトレーニングをしているといい、今大会も「ペースを守ることを意識した。パフォーマンスには満足している」と納得の表情を見せていた。
視覚障害PTVI女子の円尾敦子(日本オラクル・グンゼスポーツ)は6位。第1トランジションでタイムをロスしたが、最後まで全力を出し切った。横浜大会は8回目の挑戦。年々、沿道の応援が大きくなっていると言い、「8年間で一番落ち着いてレースができた。街並みも綺麗になっているし、この環境でできるのは素晴らしいこと」と振り返った。PTS2女子はリオ大会金メダリストのアリッサ・シーリー(アメリカ)が大会4連覇を達成。右大腿義足の秦由加子(キヤノンマーケティングジャパン・マーズフラッグ・稲毛インター)は6人中6位だった。
PTS4女子は2人が出場。谷真海(サントリー)はアメリカの選手に約2分の差をつけられ、2位だった。当初、このPTS4女子は東京パラリンピックの実施種目から除外されたが、その後、一転してより障がいが軽いPTS5と混合で実施することが再決定し、谷にも道が開いた。今大会はそのPTS5と同時スタートとなり、最初のスイムで食らいついたが、バイクで抜かれた。「完全に力負けした」と悔し涙を流したが、「目標となる選手が周りにいるのはやりやすい」と語り、「しっかり反省して、あと1年、チームで積み上げていければ」と、気持ちを切り替えていた。
車いすのPTWC女子は、2017年に陸上競技から転向した土田和歌子(八千代工業)が4位に終わり、3連覇を逃した。陸上のレーサーを使用するランではトップのタイムをたたき出したが、バイクでドラフティング(風よけ)のペナルティ(1分間)を取られたことが響いた。一方で、「ビギナーから始めた」というスイムも、「ようやくタイムを狙って泳ぎ切れるようになった」と手ごたえを感じている。来年に迫った東京パラリンピックの出場が叶えば、夏季・冬季あわせて8度目となる。そのステージを見据え、「しっかりフィジカルトレーニングを積んで、3種目ともレベルを上げていきたい」と力強く語った。
また、PTWC男子は木村潤平(ひまわり福祉会)が5位。リオ大会銀メダリストのヘールト・スキパー(オランダ)が万全のレース展開で2大会ぶりに優勝を果たした。PTS2男子の中山賢史朗(東京ガスパイプライン)、昨年の冬季平昌パラリンピックにノルディックスキー日本代表で出場した“夏冬二刀流”のPTS5男子の佐藤圭一(エイベックス)もそれぞれ5位。視覚障害のPTVI男子の中澤隆(サイオネスヘルス・タカラエムシー・インターフィールド・青山トライアスロン倶楽部)は11位だった。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)