パラトライアスロンの東京2020パラリンピックのテスト大会を兼ねた「ITUパラトライアスロンワールドカップ」の東京大会が17日、お台場海浜公園周辺の特設コースで開かれた。
大会実行委員会によると、16日にスイムコースの水質検査を行ったところ、大腸菌のレベルが基準値の2倍を超える数値が示されたとして、スイムを中止し、ランとバイクのデュアスロン(ラン2.5㎞→バイク20㎞→ラン5㎞)に変更した。当日の午前3時半ごろに、各国代表団に変更の通達がなされたが、選手は「これがトライアスロン」と前向きにとらえていた。
そのなかで結果を出したのが、車いすPTWC女子の土田和歌子(八千代工業)。ライバルのエミリー・タップ(オーストラリア)にバイクで差をつけられたものの、セカンドランの2周目の坂道で逆転。そこから一気に先頭に躍り出て、そのまま逃げ切った。レース当日の早朝にデュアスロンのアナウンスが入り、「いつもと違うルーティンでのスタートになったけれど、暑さ対策含め、いい経験になった」と冷静に対応し、結果につなげた。
パラリンピックのポイントレースは6月に始まったばかり。土田は「悔いの残らないように、しっかりランキングを取っていく」と、言葉に力を込めた。
PTS2女子はリオ大会金メダリストのアリッサ・シーリー(アメリカ)が棄権。右大腿義足の秦由加子(キヤノンマーケティングジャパン・マーズフラッグ・稲毛インター)は、猛暑の影響でバイクで義足のなかに汗が貯まり、装着に違和感があったことから出遅れてしまう。ランでも義足側で踏み込むことができず、5位に終わった。
秦は「いつになく大量に汗をかいた」と振り返りつつ、「海外勢より日本人選手のほうがこの暑さと湿気に慣れているはず。これを強みに変えられるように、あと1年トレーニングを積み重ねていきたい」と話し、前を向いた。
PTS4女子の谷真海(サントリー)は4選手中2番手でゴール。デュアスロンのレースとなり、「ランからバイク、そこからランというのは、思った以上に足への負荷が大きく、暑さもあって疲れ切ってしまった」と振り返る。それでも最後まで走り切れたのは、途切れることなく寄せられた応援の声だったといい、「横浜大会以上にホーム感を感じた」。また、今回のコースは普段、職場や長男の保育園があり週に何度も通っている場所だったといい、「みなさんの応援をいただき、改めて1年後に走りたいなと思った」と、パラリンピックへの想いを口にしていた。
(取材・文/荒木美晴、撮影/小川和行)