ウィルチェアーラグビーのリオパラリンピック予選を兼ねた「三菱商事2015IWRFアジア・オセアニアチャンピオンシップ」は1日、最終日を迎えた。すでにリオ行き切符を手にしている世界ランキング4位の日本と同3位のオーストラリアの決勝は、56対51で日本が優勝した。日本は予選で9年ぶりにオーストラリアを破っており、今大会2度の勝利はリオに向けて弾みとなった。
まさに会心のゲーム、そして意味のある一勝だった。ロンドンパラリンピック金メダルチームであり、2014年世界選手権覇者のオーストラリアに対し、日本は爆発力のある池透暢(3.0)、池崎大輔(3.0)のハイポインターと、若山英史(1.0)、今井友明(1.0)のローポインターの組み合わせのラインで勝負をかけた。
予選リーグで合計146得点をマークした池崎にボールを集め、荻野ジャパンがめざしてきた「粘り強いラグビー」でゴールを重ねていく日本。ロングボールからの速攻、若山と今井の相手の動きを封じるディフェンスなどで、リードを保ったまま後半に突入した。第3ピリオドに、池に代わってベテランの島川慎一(3.0)をコートに入れた以外は、同
じメンバーで戦い、オーストラリアの主軸であるライリー・バット(3.5)がいらつきを露わにするほど、大きなプレッシャーを与えた。
日本は終盤にボールが手につかないなどミスがあり、オーストラリアに1点差まで詰め寄られる場面も。だが、ベンチタイムアウトを有効に取り、集中力と体力を最後まで持続させ、勝ち切った。日本はこの勝利で、世界ランキング3位に浮上した。
「オーストラリアに2度勝ったことは自信になる」とキャプテンの池。とはいえ、オーストラリアは主力のローポインター2選手が今大会は参戦していないこともあり、「ベストメンバーのオーストラリアに勝ったわけじゃない。これからが新たなスタート」と気を引き締める。池崎もまた、「ラグビーを始めてから、はじめて心から喜んだ試合だった」と決勝を振り返りつつも、「これからが過酷。満足せずに前に進んでいきたい」と力強く語った。
◆最終順位◆
優勝:日本(今大会でリオパラリンピック出場権獲得)
準優勝:オーストラリア(14年世界選手権優勝時にリオパラリンピック出場権獲得)
3位:ニュージーランド
4位:韓国
◆個人賞◆
<新人賞>
ウ チョル・パク(2.0クラス/韓国)
<個人賞>
0.5クラス ベン・フォーセット(オーストラリア)
1.0クラス 今井 友明(日本)
2.0クラス 官野 一彦 (日本)
2.5クラス マイア・アマイ(ニュージーランド)
3.0クラス 池崎 大輔(日本)
3.5クラス ライリー・バット(オーストラリア)
<MVP>
池崎 大輔(3.0クラス/日本)
(取材・文/荒木美晴、撮影/吉村もと)