車いすテニス — 2025/4/19 土曜日 at 22:11:12

【飯塚2025】クアードはフィンクが単複優勝! 女子ダブルスは田中組が頂点に

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盟友でライバルのシュローダーをフルセットで下し優勝を果たしたフィンク=いいづかスポーツ・リゾートテニスコート(撮影/植原義

「天皇杯・皇后杯 第41回飯塚国際車いすテニス大会(Japan Open 2025)」は19日、クアードシングルス・ダブルスの決勝と男女ダブルスの決勝が行われた。

クアードシングルス決勝には、世界ランキング1位でパリ2024大会金メダリストのニールス・フィンク(オランダ)と同2位でパリの銀メダリストのサム・シュローダー(同)が駒を進めた。ここまでフィンクが23勝、シュローダーが13勝で、直近の対戦となった今年1月の全豪オープンではシュローダーが7-6、7-5と接戦を制し、優勝を果たしている。

そんなトップ選手同士の対戦となった決勝も手に汗握る展開となり、4-6、6-3、6-3でフィンクが制した。第1セットは先にフィンクがブレークに成功し、4-1と先行。しかし、ここからシュローダーが相手コートにスペースを作る配球で主導権を握って5ゲームを連取し、一気に逆転に成功した。第2セットは3-3とした第7ゲーム、試合を構築していたシュローダーがわずかなミスをきっかけに連続で失点。逆にフィンクはここでブレークしたことを機に、このセットを奪い返し、その勢いを維持して第3セットもモノにした。フィンクは、ガイ・サッソン(イスラエル)とペアを組んだクアードダブルスでも優勝を果たし、2冠を達成した。

女子ダブルスを制した田中・朱組。田中はスーパーシリーズで初めてタイトルを手にした

女子ダブルス決勝は、第1シードの田中愛美/朱珍珍(中国)組が第2シードのルーシー・シューカー(イギリス)/アニク・ファンクート(オランダ)組と対戦。第1セット、タイブレークの接戦を7-6(4)で制した田中組は、第2セットに入るとファンクートの強打とシューカーの前衛のボールさばきに手を焼き、2-6で落としてしまう。10点先取のスーパータイブレークでは互いに譲らず9-9となり、そこから田中組がネットにボールをかけて相手のマッチポイントに。しかし、ここでファンクートがダブルフォルト。次のサーブのためにファンクートが相手コートに返球したボールが田中の右頬を直撃し、試合は一時中断した。氷で顔を冷やしてケアをしたのち、試合を再開。ラリーが続くなか、ファンクートのストロークがネットにかかり、今度は田中組がマッチポイントを握る。そして、最後は朱のバックハンドが相手の間を撃ち抜き、見事勝利を収めた。

田中はパリ2024大会ではダブルスで金メダルを獲得しているが、スーパーシリーズ(SS)の優勝は初。田中は、「SSにはパラリンピックとは別の緊張感がある。しかも日本で獲れたというのはすごく良かった」と振り返った。

また、男子ダブルスは第1シードのダニエル・カバザッチ(スペイン)/ステファン・ウデ(フランス)組が、第2シードのマーティン・デ ラ プエンテ(スペイン)/ルベン・スパーガレン(オランダ)組を6-4、5-7、10-8で下し、頂点に輝いた。

男子シングルス準決勝は、第1シードの小田凱人(東海理化)が第4シードのカバザッチに6-0、6-4で勝利。決勝では、デ ラ プエンテと対戦する。また、女子シングルス準決勝は、上地結衣(三井住友銀行)が王紫瑩(中国)を7-5、6-0で下し、決勝に駒を進めた。決勝では、今年に入って1勝1敗の李暁輝(中国)と対戦する。

(取材・文/荒木美晴、写真/植原義晴)